再び世界中で、学者探しが始まりました。 そしてやってきたのが、ドクターシガーでした。
ドクターシガーは、王国に着くなり大臣から事情を聞き、すぐに研究室にこもりました。
そして3日してから、研究室を出て、王様に会いにお城にやってきました。
「王様、私がシガーです。私は、タバコを守るため、寝るのもおしんで研究しました。そして新兵器を開発いたしました。これでドクターブックとやらには何も言わせません。」
「名づけて、シガーサポートと申します。」
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ドクターシガーは、得意そうに、王様に真新しいパイプのような機械を見せました。
王様は、目を輝かせその機械を手に取りました。
「うむ、ふう、これはどう使うのじゃ。」
ドクターは、ポケットからタバコを一本取り出し、すばやくその機械に取り付け火をつけました。
「この穴から吸います。そうすると、タバコのうまさはそのままで、煙からニコチンと一酸化炭素(CO)を取り除きます。」
王様は、うまそうに機械を使ってタバコを吸いながら言われました。
「この国は、これで救われた。税金のない健康な国民の国に生まれ変わるのじゃ。」
そこに、ドクターブックが部屋に入ってきました。
「よいところに来た、ドクターブック。そなたの指摘した、ニコチンと一酸化炭素(CO)を気にせず、タバコが吸えるようになったぞ。ドクターシガーが、新兵器を作ってくれた。」
「その機械を使うとあの煙は出なくなるのですか。」
すかさずドクターブックが聞きました。
「いいや、タバコの旨味の元といえる煙はなくならない。」
ドクターシガーが得意そうに答えました。
「それでは、何の解決にもなっていません。」
「王様、その煙の正体は、タールというものです。」
「言い遅れましたが、そのタールこそが、この国の国民の寿命を縮めてている一番の悪者なのです。」
「そんな、そんなにタバコを毛嫌いせずともよいではないか。」
王様は椅子に深く座りなおし、ため息をついてつぶやかれました。
「どうなのじゃ、ドクターシガー」
ドクターシガーの顔は、見る見る青くなっていきました。
「あ、あの、王様、少しお時間をいただきたく存じます。」
そういうとドクターシガーは、一目散で部屋を出て行きました。
机の上には、燃え残ったタバコの付いたシガーサポートが残されていました。
(4)タールの話
王様は、ドクターブックと部屋に残されました。王様はもう話を聞きたくなかったのですが、ドクターはゆっくりと話を始めました。
「王様、ガンという病気をご存知ですか。」
王様は、突然聞かれて「ああ」とだけ答えられました。
「アジアにある島国、日本では、このガンが国民の死亡原因の一番になっています。」
「ガンとは、それほど危険な全身どこにでも発生する恐ろしい病気なのです。」
ドクターはソファーに座りなおし、王様の顔をのぞき込みながら続けました。
「ガンとは、体中どこにでも出来る恐ろしい悪魔の細胞の塊。できものなのです。」
ドクターは、手で丸い塊を作るように両手を動かしながら
「そして、このガンは悪魔のような恐ろしい二つの力を持っています。」
「そのひとつは、正常のからだの器官の発育スピードよりはるかに早く発育するということです。」
「正常の大人の細胞は、一つが老化して死ぬと一つの細胞が入れ代るようになっています。だから常に数は変わりません。
「大人になってしまうと、どの器官も大きさが変わらないのはそのためです。」
「ところが、ガンの細胞は、ひとつが、二つ、二つが四つ、四つが八つと倍倍に増えていくのです。」

「そのためガンは、まわりの正常の部分よりもずっと早く発育し、正常の部分にどんどん入り込んでこわしてしまいます。」
ドクターブックはもう一度王様の顔をのぞいてから、一息ついて続けました。
「そしてもう一つの、ガンの恐ろしい大きな力とは、」
ドクターが続けて話そうとしたところで、王様は、突然立ち上がりました。
王様は、いやいやのポーズで頭を振りながらバルコニーに出て行ってしまわれました。
ドクターは、追う様にバルコニーに出て大声で続けました。
「王様、ガンは簡単に部分的にはがれてしまいます。」
「そしてはがれた自分の分身を、血管を通して体のどんな部分にも送り込んでしまいます。」
「そして正常の細胞に引っ付きます。そしてそこでも同じように急速に発育してしまうのです。これを転移といいます。」
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